未来の約束
「何かあったのか?」

「過去を隠されてた。だから、浩太のことも忘れてた」

「覚えてたら、俺とは一緒にいなかった?」


美和は、小さく頷く。


「なら、良かった。感謝しなきゃな、樋口さんに」

「あたし、病気だったんだよ?」

「過去の話だろ?現に今、美和は生きてる」


今は、それが全てだ。


「定期的に病院には通わなきゃイケないが、後少しで終わりだろ?」

「明日、再発するかもしれない」

「でも、再発しないかもしれない」


どちらも、可能性の話だ。


「仮に再発しなかったとしても、あたしは・・・浩太を幸せにしてあげられない」

「なんで?」

「あたし、生きてる代償に子どもを諦めたの。だから、辞めた方が良いよ。こんな欠陥だらけな女」


無理に笑って、明るく言う美和が見ていられなかった。

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