未来の約束
「話したでしょ、彼に」

「さぁ?話したつもりはないが、彼に独り言を聞かれたかもな」


独り言を聞かれるって、どんな状況よ。


「で?あの後、彼とは」


カルテから視線を移し、こちらを見る。


「別に」

「その反応は、良い方向に収まったんだな。良かったな」


優しく頭を撫でると、樋口は穏やかな笑みを浮かべた。


「来月の検査で異常がなければ、卒業だ」

「まだ、わかんないけどね」

「先のことなんて、誰にもわかんねぇよ。でもわからねぇからこそ、良い方に考えろ」


そんなこと言われても、これがあたしだ。

そう簡単には、変われない。


「それと来月の検診なんだが、色々調整はしてみたが、こっちに来るのちょっと難しい」


都合が悪そうに、樋口は苦笑いを浮かべる。

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