未来の約束
あたしだって、まだ何も樋口に知らされてないのに・・・


「何て、言ってた?」

「再発の可能性があるかもしれないと」

「そう」


あんなに不安に押し潰されそうだったのに、自分のために悲しむ人間を見たせいか、冷静な自分がいる。


「再発かどうか、次の検診でもう一度調べると言っていた。もし仮に再発していたら、早急に治療に入りたいとも」

「そう」

「それと、手続きの書類を置いていった」


そう言うと、鞄から封筒を取り出すと、手渡される。

中を確認すると、入院手続きや同意書等も入っていて、ご丁寧にお父さんのサインまで記入済み。


「これは親のエゴかもしれないが、美和には生きてて欲しい。だから万が一、再発していたら、治療を受けてくれ」


また、リセットか。

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