世界No.1の総長と一輪の花
部屋の中に入ると、「俺用事あるから行ってくる」と言う詩優。
……またあの女性と会うのだろうか…
ここで『なんの用事?』と聞けたら正直に答えてくれる?
でも私には聞く勇気なんてやっぱりないんだ。
「あ、忘れ物」と一旦自分の部屋へと戻っていく詩優。
私は本当にこれでいいのだろうか………
このまま詩優をとられて……
…そんなのダメに決まってる。
今まで堪えていた涙が溢れ出て、止められなくなる。私は自分の足を動かして詩優の部屋へと向かった。
ノックもせず部屋に入り、ベッドの近くにいた詩優に思いっきり抱きついた。
詩優はバランスを崩したみたいで、ドサッとベッドに倒れ込む。もちろん私が上にいる状態で。
「花莉?」
私は体を起こして、詩優が逃げられないように馬乗りになった。