世界No.1の総長と一輪の花
*
「ここをこう、強く引っ張って」
俺の前でぎゅっと目を瞑って自分の頬を指さす花莉。
……可愛い
俺は花莉に顔を近づけて、唇にキスをした。パチッと目を開けて、「違っ!!」と声を上げて顔を赤くする。
「き、キスじゃないっ!!」
「可愛かったから、つい」
「なっ…!!」
ぽんぽんと頭を撫でると、「…こういうのやだっ!!」と言われてしまった……
でも言葉だけで抵抗するだけで、何だか嬉しそうな顔をするからそのまま撫で続ける。
「…つ……甘やかさないで…っ…」
頭を撫でている手に自分の手を重ねた花莉は、そっと俺の手をおろす。
「………詩優みたいに強くなりたい…」
呟くように言葉には悲しさが含まれている。
「…私は…強くないの………
お母さんとちゃんと話したい……から…一緒にいてほしい…」
花莉は覚悟を決めたような真っ直ぐに俺を見つめる。
「いいよ」
充分強くなってると思うけど…そう言うと否定されそうだ。