世界No.1の総長と一輪の花
*
「ねぇ、聞いて」
倉庫に行けば、京子はご機嫌で俺らに話しかけてくる。
「今日、世界一可愛い子と仲良くなったんだぁ」
"世界一可愛い子"
その言葉に納得。
「悪い虫がつかないようにはしておくから。まぁ、頑張りなさいよ」
俺に視線を送って、にやりと笑う京子。
「…何を」
わざととぼけてみる。
京子は倫也よりも鋭いやつだけど…
何でもう気づいた…?
「花莉に熱い視線送りすぎなのよ」
「…送ってねぇし」
「あっ!でも!残念だけどあの子彼氏いるって」
「!?」
勢いよく立ち上がった。あまりにも衝撃的すぎる言葉だったから。
確かにあんなに可愛いと彼氏くらいいてもおかしくないよな…
「毎日彼氏とあつーいキッスしてるって」
さらに追い討ちをかけてくる京子。
……毎日!?
いや、でも俺らも高校生だし…
あの子が他の男とキス…してるだなんて考えるだけでもやもやしてくる…
「奪っちゃえば?」
囁くように言ってくる。
まるで悪魔の囁き。