世界No.1の総長と一輪の花





この日、京子と明日葉は学校に来なかった。




…今日は金曜日。
いつもだったら花莉が泊まりに来る日。




もう泊まりに来ることなんてないんだけど…




ガチャリ




と開けたのは花莉が使っていた部屋。




…荷物は取りに来てもらわねぇと




"部屋にある荷物、取りに来て"




酷く冷たい文章。それを送信した。




すぐにメールを受信して、開いてみると




"わかった。明日行くね"




とだけ書かれていた。










「うっわ。未練タラタラじゃん」



俺の部屋へといつの間にか来た壮。
気配なんて全然感じなかったから少し驚いた。



「…俺らに気づかないほど弱ってるとか馬鹿なんじゃね?」



奏太までいたみたいで確かにその通りだと思った…







空気を思いっきりはいて、吸ってから気持ちを切り替える。



「…飯食いに行くか。何食いたい?」



…もう花莉の手料理を食えないんだなと思うと寂しかった。




「キャビア」


「フォアグラ」




本当に食いたいのかは分からないけど、そう答えた奏太と壮に




「ラーメン屋でも行くか」




と言って一緒に外へと出る。







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