世界No.1の総長と一輪の花
*
あの後、詩優は竜二さんの知り合いの病院へと連れていかれた。
私は、殴られた頬を少し冷やしてからアパートへと倫也が送ってくれた。
その帰り道で聞いたこと。
怪我人は多いけど、死人はいないんだとか。
その言葉を聞いて安心。
……もう、安心してここから引っ越せそうだ。
ピンポーン
聞こえてきた玄関チャイムの音。
「こんな時間に誰かしら」
ガチャッと部屋の鍵を開けるお母さん。時計を見ると、今は22時過ぎ。
私が帰ってきた時だって20時を過ぎていたのだ。
「こんな時間にすみません。今、どうしても…花莉に伝えたいことがあって来ました……
5分…5分だけ花莉を俺にかしてもらえませんか」
聞こえてきた声に心臓がドキン!と思いっきり跳ねる。
まさか……と思って玄関に目を向けると、さっき病院へと連れていかれてはずの詩優がいた。