世界No.1の総長と一輪の花
…な、んで……ここに…
「…お願いします」
お母さんに頭を下げる詩優。
「…いいわよ。
花莉も言いたいことあるだろうから、夜瀬くんさえ良ければ泊めてあげて?」
ちらりと私に目を向けるとお母さんは、ウィンクをした。
…え!?
「ありがとうございます…!!
俺は全然大丈夫なんで、あとは花莉の意思に任せます」
……と、泊まり!?
"泊まりたい!"ってすぐに言えるほど私は馬鹿じゃない……だって、私たちはもう別れているのだ。もう恋人じゃないんだ……
詩優には好きな人がいるんだ……
「花莉、後悔しないように行ってきなさい」
お母さんは私の方へと来て、ぽんっと背中を優しく押してくれる。
「…っ……行ってきますっ…!!」
私がそう言うと、詩優はぐいっと私の手を引いて歩き出す。
最後に、思い出だけでも……なんて言う欲があったせいでそんなことを言ってしまったんだ。