W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
違和感を覚え固まっていると、リビングのドアがカチャッと開いた。
振り返ると、腰にタオルを巻いただけのほぼ裸の梗月が立っていて、「あ…」と声を出す。

「きゃあ~~~っ梗月さん!!なんて格好してるんですか!?服着てください!服っ!」

慌ててしゃがみこみ後ろを向いて目を瞑る。

「あ、ごめん、静香くん」

「なに~?、朝からうるさいなあ」

同じ声が前から後ろから聞こえてくる。
恐る恐るソファーの方を見ると梗月がソファーから眠そうな顔を出している。

いや、梗月ではない。梗月は後ろで裸で立っている。

「君、誰?」

見据えられてドキッとした。
慌てて立って頭を下げ挨拶をする。

「は、はじめまして。私、きょ…エフラインの社長秘書をしています、新村静香と申します」

「…へえ、君が…」

物珍しそうに私を上から下からじろじろ見る男。この人が梗月の兄の涼月だろう。
確かに、どこからどう見ても梗月にそっくりだ。声まで似ている。
静香も涼月の顔をまじまじと見てしまっていた。

「し、静香くん?」

後ろから不安そうな声で呼ばれるから思わず振り向いてしまった。
そこにはほぼ裸の梗月。

「きょ、梗月さんっ!だから服着てください!」

目を瞑って向き直ると、今度は前からクククっと笑い声。

「あ~、朝から騒がしい。でも、面白いものが見れた。僕は涼月、よろしく」

弓のように口をニヤリとさせ、きれいな顔で静香を見る涼月にドキッとする。

「僕もシャワー浴びてこよー。きょう、いつまでもそんなカッコしてたら犯罪者扱いされるぞ。」

「あ、ああ」

静香を横目で見ながら横を通り過ぎ、梗月と並んでリビングを出ていく涼月。
後ろ姿もそっくりで、静香はため息をついた。

ホントそっくり…。でも、兄弟喧嘩してるらしかったけど、今の感じだとそんな風には見えなかったな?

< 11 / 109 >

この作品をシェア

pagetop