身代わり令嬢に終わらない口づけを
「この首飾りが、わたくしに似合うと思ってお選びになりましたの?」

 いきなりきつくなったローズの口調に、レオンは黙り込む。

「女は装飾品を好むもの……またそんな一般的なお言葉をお信じになったのではございませんか?」

 ちらり、とローズは控えている黒髪の執事に視線を流した。当の執事は、その視線を受けてにっこりと微笑む。それをにらんで、ローズはもう一度視線をレオンに戻した。

「レオン様」

「なんだ」

「本当にわかっておられるのですか? あなたは、どこかのなんとかという女性と結婚するのではなく、このわたくしと結婚するのです」

 言いながら、ローズは立ち上がる。そして、背の高いレオンを真っ直ぐに見上げた。

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