身代わり令嬢に終わらない口づけを
「レオン様は大人の女性の方がお好みのようでしたから。子供っぽいこんな化粧では、わたくしの美しさは引き出せませんわ。当日はもっと美しく見えるように化粧いたします。どうぞご期待くださいませ」

(ごめんなさいごめんなさい、メイドさんたち。本心じゃないの、きれいにしてくれてありがとう。でもこれじゃだめなのよ!)

 針子たちが外に出ててくれて本当によかった、とローズは心底思った。一生懸命やってくれた彼女たちに、こんな言葉は聞かせられない。

「いや、十分美しい……」

「……え」

 思いがけない言葉に振り向くと、は、としたようにレオンが目をそらした。その顔は、真っ赤になっている。

 その顔を見て、ローズまで頬が熱くなるのを止められなくなってしまう。

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