うさぎに罪はないがうさぎ好きな彼は罪深い
ペットのうーたん自慢が甚だしいのだ。
仕事の話以外、口を開いて出てくるのはうーたんの話だし。

しかも本人はまわりに嫌がられているのに気付いていないのか、ぐいぐい押してくるし。
これさえなければほんと完璧なのに、と皆に惜しまれている。

……私はといえば。

中途採用でこの会社に入り、まわりから斉藤さんのことを教えられる前に「可愛いですね」とか見せられた画像に言ってしまったが為に。
いまは完全にうーたんの話をするターゲット。
というか人身御供よろしく、まわりから斉藤さん係に任命されている。

「……斉藤さん。
少しはうーたんの話、控えた方がいいですよ」

「朝比奈さんはうーたんの話、嫌い?」

悲しそうな顔をされてキュンとなってしまった自分を慌てて打ち消す。

……うん。
いまのは気のせい、気のせいだから。
< 4 / 18 >

この作品をシェア

pagetop