うさぎに罪はないがうさぎ好きな彼は罪深い
うーたんの話しかしない斉藤さんは好きではないが、うーたんの話をしているときの斉藤さんはその、……うん。
ちょっと可愛いなー、とか思ってしまう。

「完璧な斉藤さん」とは全然別の顔。
子供みたいな笑顔で嬉しそうに話している。

たまに、この斉藤さんを知っているのが私だけだったらいいのに、とか思ってしまう。



その後。

あの契約は無事に結ばれ、売上も斉藤さんの予告通り前年比200%を突破した。

社長賞をもらい表彰される斉藤さんを、ただのうさぎ莫迦じゃなく凄い人なんだとやっと認識した。

「朝比奈さん。
その、……今度うちにこない?」

「はい?」

表彰があった次の日。
食堂で席に着いた途端、見張られてたんじゃないかという勢いで斉藤さんがやってきて私の前に座った。
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