ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

1週間前のあの夜、余裕のないままに抱いて……抱きつぶしてしまったことは、本当に申し訳なかったと思う。
あんなふうに、無理やりすべきじゃなかった。
まず話し合い、彼女の疑問を解いて、それから愛し合うべきだった。

翌日の夜、リビングの床で泣いていたらしい飛鳥を見つけた時は、殴られたようなショックだった。
朝になって必死で謝ると、彼女は「もう怒ってないから」って言ってくれたけど。
その後も、普段と変わりなく装いながら、どことなく距離を置かれてるように感じる。

きっと、彼女を怯えさせてしまったんだろう。
その心の傷が治りきる前に再び手を出せば、今度こそ完全に嫌われてしまうかもしれない。

僕が悪い。そうだよ、その通りだ。
僕のせいだ。

だから決めた。
彼女が本当に許してくれるまで、ひたすら待とうと。

正直、それにはとてつもない自制心を必要とした。
愛しくてたまらないその人と過ごしながら、無防備な寝顔を間近に見ながら、
キスもそれ以上もしないなんて。
わかるだろう? 男にとっては拷問以外の何物でもないって。

キスしたい。
あの柔らかな唇をこじ開けて。
甘い舌を捕らえて。

ベッドに沈めながら、喘がせたい。

日々自分の中で暴れまわる淫らな欲望と妄想を必死に打ち消しながら、彼女の笑顔が再び見られる日を待った。

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