ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

「い、ったぁ……」

痛みを堪えて起き上がると。

くすくすって周囲から女子たちの忍び笑いが聞こえてきて、恥ずかしさに消えたくなった。ドジすぎる……
新しいスカートに合うからって、こんな高いヒールのブーツ、選ぶんじゃなかった。

顔があげられないまま、とにかく立ち上がろうと、わたわたと足に力を入れるけど。

「い、た……」

足首をひねったらしい。
何よこれ。年明け早々、最悪だ。
厄年? え、いくつだっけそれ。
いや、それよりプリンは無事かな。

ごちゃごちゃと考えながら、態勢を整えようとして。
そこへ。


「飛鳥、大丈夫かい?」


明るいテノール。
王子様の声。

私は真っ赤になったままの顔を、そろりと持ち上げた。

「う、うん……あの、プリンが、ね……」

放り出された箱に伸ばした手は、彼に阻まれた。
「そんなことより、足、みせてごらん」

汚れるのも構わずライアンは膝をつくと、私のショートブーツを脱がせた。

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