ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

「何考えてるの? そんな真っ赤な顔してさ?」

翡翠色の瞳が面白そうに煌いて、私を捕らえた。

「え、あの……ちょっと熱い、かなと。この部屋」
言うなり、ライアンがニヤリと片頬を上げた。

「嘘つきだね飛鳥は。思い出してたくせに。昨夜ここに……ほら、僕がキスしたとこ」

ややややっぱり、最初からそのつもりで触ってたんだ、こいつは!

「ちょ、何考えてっ――」
「まだ跡、残ってるね。ほらこの裏にさ……」
思わせぶりに、ふくらはぎをたどる指。
熱い。
まるで秘めた何かを暴くような熱――

まずいまずいまずい。
ここは人様の家でっ……
しかも、目隠し程度の壁があるだけで、リビングダイニングは一続きっ!
少し移動すれば、丸見えになってしまう。

ぱくぱくと、声にならない叫び声をあげる私の前で、ライアンがくつくつと肩を揺すった。

「そんなに期待しちゃう?」
「しないわよっ」

するわけないでしょっ!
精一杯の抗議を込めた視線を、さらりと流し。
身体を起こしたライアンがソファに手をつき、私の耳元に唇を寄せた。

「今は無理だけど……帰りにさ、する? 実は一度、してみたかったんだよね」

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