after「恋がしたい。ただ恋がしたい。」
***

「もう、サプライズは止めるから。マリッジリングは一緒に買いに行こう。結婚式も二人で決めようね。……まずは、香織ちゃんのお父さんお母さんにご挨拶に行かなきゃ。これから忙しくなるね」


手を繋ぎながら、家までの道のりを歩く。


私達が住んでいるのは、元々紫と裕介くんが二人で暮らしていたファミリー向けのマンションだ。


もう一年以上一緒に暮らしているし、裕介くんの仕事も安定してるし、私も幸い異動も無く、このままだと引っ越す必要も無いだろう。


そう。結婚する以外は、今の生活と何も変わらない。


それを平凡なしあわせだと思う人もいるかもしれない。


何も変化の無い人生だと、刺激が無いと、退屈だと言う人もいると思う。


だけど、その何も変わらないしあわせが、私にとってはとても心地よい。


いつも変わらず、私の側には裕介くんがいて。


ずっと変わらず大好きな人で。


変わらず、私を愛してくれる人。


いつも恋の終わりばかりを考えていた私には、裕介くんの『変わらない』と言葉を尽くして安心させてくれる愛情がとても心地よくて、心から安心できるんだ。


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