甘い罠に囚われて
「かけ……る?」

暗がりで見てもその整った顔がテレビや雑誌で見るKAKERUだと分かる。

なのに聞こえてきたのは予想外の言葉。

「わざとらしい。」

「はっ?」

なんでそんな冷ややかな目で見られなきゃいけないのよ。

目の前のKAKERUらしき……いや、KAKERUに違いない人が私の頭一個分上から見下ろしてくる。

「恩売ってお近付きになりたいわぁ、とか?ああ、それともSNSで拡散か。」

一方的すぎる態度にいくらなんでもと怒りより呆れが増してくる。

「何か勘違いされてるようだから言いますけど有名人だからって誰もがあなたに興味があると思わないでください。少なくとも私はコンビニに財布も持たずやってくるアホな人に惹かれることなんて百年先までありませんのでご心配なく。先程出したお金はドブに捨てたとでも思います。なのでいい加減、腕を離して貰えませんか?そんな強く持たれると痛いし跡が残っても嫌なんで。」

自分でも驚くほど冷静な声が出た。

誰もが認めるイケメンを前にしても中身がこれじゃあこっちもこういう態度になる。

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