恋愛境界線
「付き合うことになった。あの子と」

「は…!?」

嘘…だろ?

「だからあの子に近づくな。もう俺の彼女だ。
お前には今後、いち教師としてでしか近づいてほしくない。そうすると約束しろ」


「できるかよ!」

「お前なあ…」


兄貴は大きく深いため息をつく。


「お前は子供過ぎる。そこが駄目なんだよ。
駄々こねて俺が諦めると思うな。
もう26の大人なんだから、潔く身を引け」


「…雪花に直接確認に行く」


「やめろ。
彼女はお前に会いたくないといっている。
とにかく、必要最低限関わるな。いいな?
俺は仕事に戻る。さっさと帰るんだな」


「おい、待てよ兄貴!」

背を向けて立ち去る兄貴の背中に叫ぶ。

「兄貴!」

いくら叫んでも、兄貴は姿が見えなくなるまで立ち止まることはなかった。
僕は苛々を募らせて、再び乱暴にベンチに腰かける。
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