恋愛境界線
「やっぱり、そうなのね。」


「え…?」


私は胸を強く押され、後ろにバランスを崩し、背後にある教室の入口付近に倒れこんだ。

持っていたスクールバッグの中の教科書やポーチ、イヤホンなども床にぶちまける。

「痛っ…!何するんですか!」

目の前に立つ小川先生を睨み付ける。


「本郷先生はこーんな色気もない小娘のどこがいいのかしら。私の方が胸もあるし、色気もあるっていうのに。…ああ、もしかしてロリコンなのかしら」

「は?なに言って…」

私が反論しようとすると、小川先生は尻餅をつく私の目の前にかがんで、右手で私の顔を強くつかんだ。

「教師をたぶらかすなんて、悪い子ね。学校にばれたら、どうなるかしら」

この人…一体何を考えているの?

「やめてください!私と先生はもう関係ないって言ってるじゃない」

「職員室で抱き合ってたのに?」

小川先生に言われた瞬間、この間の光景がフラッシュバックする。

2人きりの職員室。
本郷先生に抱きしめられたことを…

「もしかして、見ていたんですか…?」

だから言ったのに。
やっぱり見られてるじゃん。
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