恋愛境界線
『かなで…?』
いつもと違った奏の表情に私は戸惑う。
『どうしたの…』
『好きだ』
『え…』
『ずっと好きだった。俺と付き合おう』
全然気づかなかった。
奏が私を好きだなんて。
覚悟をして言ったのだろう。
私が奏を異性としてではなく、弟のようにしか見てないことをわかってたはずだ。
そして、
『いいよ、付き合おう』
私が断れない…断らないこともわかっていたんだと思う。
その日から私たちは付き合い始めた。
一緒にいて楽しくなかった訳じゃない。
よく知ってる相手だし。
手を繋ぐことも、キスだって嫌だとは思ったことはない。
これが恋なのだろうか。
私は奏のことをちゃんと好きなのだろうか。
ずっと違和感はあったけれど、そのことには見ないふりをして、蓋をしていたんだ。