三坂くんはまちがってる




「俺はね、そろそろ席替えしてもいいんじゃないかって思うわけ。みんなどう?」


「超賛成」

「タクセンマジ神!」

「その言葉待ってました」


赤崎 拓馬(あかざき たくま)先生こと、
タクセン。

若くて面白くて、生徒のことを一番に思ってくれる人気度ナンバーワン教師。

赤崎先生は、

隅でひとり座る私を
時々気にかけているような目を向けてくる。

じきに呼び出されてしまうのではないかと
少々ビクついている。


「だよね、そう言われると思って
俺席順作ってきたのよ」


「えー!くじ引きじゃないんすか!」


「どうせなら男女交互にして
仲良くなってもらいたいなっていう

俺の超世話焼き感情で作らせてもらったわ」



黒板に席順が書かれた紙が貼られる。

赤崎先生のその言葉は
まるで私に投げかけられてるみたいで
嫌な予感がした。





「ホームルーム終わったらこれみて移動してね

そんじゃ号令!」



ざわめきが響く中、
号令とともにチャイムがなる。



一斉にクラスメイトが黒板めがけて走ってゆく。
まるで砂埃でもたちそうな勢いだ。



落ち着いたら見に行こうと考えたわたしは、
椅子に座ったまま
本を広げた。







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