三坂くんはまちがってる
井上さんがいなくなったことで、
取り残された私と三坂くん。
三坂君はなぜか私の席の横から離れなくて
私は私で、三坂くんの方を見れなくて
何秒間かの沈黙がこの騒がしい教室の隅っこで流れた。
「席、移動しないの」
「え」
「真ん中だろ 早くしねえと机動かしずらいから」
「…はい」
「はいって…俺らタメだろ」
三坂君はため息をこぼすように呟いて
自分の席へ戻って行った。
今まで全く会話のしたことがなかった彼と
今日は何回も言葉を交わした。
それだけでキャパオーバーなのに
席まで隣同士になるなんて
怖くてやっていく自信がない。
話しかけたいと思わない、
なんて思われてるのだから
きっと隣同士になっても特に関わりはないのだろうけれど
それでも私はかなり気が重かった。

