教えて、世界。【短編】
「そういう訳じゃない。ただリスクはあるよって話。理解出来るよね?」

時枝(ときえだ)先生はズルい。

いつだって最終的に自分の考えを必ず通すから。

僕に嫌だ、という選択肢を与えないようじわりじわりと詰めてくる。

「…はい、理解しているつもりです。」

定期検診を終えシャツのボタンを閉じながら僕の主治医である時枝先生と目を合わすことなく答える。

「そう、鈴原くんは頭がいいね。じゃあ、今後の事も少しずつ話し合っていこう。親御さんも交えてね。」

チッ…先にこっちに根回しして親への説明もスムーズに進めるつもりか。

とは言っても…

仕方ないよな。

手術、しなきゃ僕に未来はない。

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