初恋の花が咲くころ
「正式にデザイン部の一員として受け入れるのは、再来週からにするわ。そちらも都合があると思うし」
レイさんのオシャレなオフィスで、桐生と咲は並んで座っていた。
「はい、ありがとうございます!」
咲はせっかく引き抜いてくれたレイさんに失礼がないようにと、明るく返事をする。
「でも、咲ちゃん用のデスクはもう用意してあるから、準備が出来たらいつでも来ていいからね」
部下のことを「ちゃん」付けして呼ぶところに、レイさんの人当たりの良さを感じる。
「嬉しいです!」
デザイン部は、女性職場なのでテレビドラマのようにぎすぎすしているかと思っていたが、前回働いてみてそれは全く見当違いだということに気がついた。さっぱりした性格のレイさんだが、一人一人を尊重し、部下の得意を把握しているので、社員全員がのびのび仕事出来ている。そのためか、いがみ合いなど皆無だ。
「ああいう人の元で働けるなんて、楽しみだな~」
帰りのエレベーターの中で、咲は顔がにやけるのを止められない。桐生は、レイさんと話があるからとデザイン部に残った。
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