名もない詩集

14年後の秋のうた

もう
死んでしまおうかな
そんな気持ちに
心が揺れる

幸せだった
あの夏から
18年と言う時間が流れ
また秋がやってきた

君の部屋で過ごした
春夏秋冬
越えられる幸せはない

どんなに頑張っても
私の幸せはもう無い
君との日々に
一生分使い果たして
花火みたいに
夜空に大きく
咲いて散ったから


どんな時より正直で
どんなお互いでも
見せ合えた
君との愛だけが
私の全てだった

嘘をつききれず
互いに涙に濡れて
激しくぶつかり合って
そして抱きしめあった

どんなに時が過ぎても
色あせない
裏切りさえ許せたのに

君がまだ一人と
聞いた三年前
とても胸が痛んだ

私たちを裂いた
君をこの世に
送り出した人達が
いつか死んだら
また家族に戻ろうと
泣きながら
別れたあの日

一生会えなくても
一生憶えている
顔も声も胸も
その涙もキスさえも
今思い出した

悲しみしかないなら
もう
苦しみしかないなら
色褪せた写真が
灰になるみたいに
私の人生も
消えてしまえばいい
花火みたいに



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