名もない詩集

14年後の冬のうた

明日は君の誕生日
今日は初めて
私と会った日
君も思い出し
夜更けには泣くでしょう

どれだけ月日が過ぎても
忘れられない事だって
この世にはあるんだよ

私は君にとって
初めて愛した女で
初めての女
君は初めて愛した男
思い出が多すぎる
数も出来事も

真剣だった
傷つけ合いながら
世界中の春を
集めたような
幸せな日々を過ごした

君との宝物も
生まれて
幸せになろうと
震えながら誓い
二人で泣きながら
守ろうとしたのに

君と裂かれて
季節は永遠に冬

記憶の中の夏だけが
潮騒の音を奏で
二人の部屋の陰や
幻の窓の緑を映す

裏切り愛し
笑って泣いて
会えなくなって
長い月日が過ぎたのに
君だけは忘れられない

忘れられたら
楽だろうか
だけどそれは悲しい

同じ思いを抱きしめ
君はとっくに
あの頃の私の歳を越えた

なってみれば
あの頃の私は
以外に大人でなく
君と変わらない
ただの弱い女と
今はわかるはず

君も明日が来る度
心で泣き続けてる
きっと死ぬまで
互いを思い出す日


誰といてたとえ
幸せみたいな
中にいても
今思えばあれは
戦争みたいだったね

親なんていなくて
二人だけなら
きっと今でもいたし
もっと家族も増えてた

もっと強くなるには
君は若すぎたね
大きくなった
君と私の愛の形を
いつか君に
会わせてあげたい

いつかあの人達が
この世にいなくなったら
君と君によく似た
君の子供を君に
会わせてあげたい


その時流した涙で
長い冬が終わり
時が動き出せば
私たちはまた
人生を生きてゆける




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