行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「なんだよ・・・さっきの」

収録が終わり、南條家が所有するマンションに戻り、キッチンに立つさくらの後ろから波留斗は抱き締めながら耳元で囁いた。

「さっきのって?」

レタスを剥ぎなから、振り返ろうとするさくらを波留斗が肩に乗せた自身の顔で遮る。

「神野・・・」

「マナブン?」

「キス・・・」

波留斗はさくらの体を正面に向けると、素早くその唇にキスをした。

余裕のない早急なキス。

「ちよっと・・・、マナブンは幼なじみだって言ったでしょ?」

唇を離した波留斗の両頬を撫でると、さくらは微笑んで言った。

「馴れ馴れしすぎる・・・」

「頬にキスなんて、マナブンにとっては挨拶代りだよ」

「俺が嫌だ。さくらは俺が美憂にキスされても何とも思わないのか?」

拗ねたような表情の波留斗は、やはり暴君にはなりきれないようだ。

「それは・・・嫌かも?」

さくらは首をかしげて

「もうしないでってマナブンに言っとく。だから波留斗も誰ともキスしないで・・ね?」

「約束だからな」

波留斗が我が儘を言えるのはさくらだけ。

それを今では十分理解しているさくらは、波留斗の体をギュッと抱き締めた。
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