行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?

変わり始める次男

「ようこそ、お越しくださいました。西園寺社長と奥様」

南條ビバレッジはこの12月で創業111周年を迎える。

明治時代から続く飲料水の老舗。

このタイミングで南條ビバレッジ社長で、波留斗と悠紀斗の父である南條豊は、悠紀斗へ社長職を譲ることを発表。

その発表の場が、今回の創業111周年パーティーだった。

もちろん、次男の波留斗だけでなく、稼ぎ頭のmirayもパーティーに呼ばれていた。

mirayの衣装は、男性用のスーツ。

波留斗と並ぶと、イケメンのバティ二人組が出来上がりだ。

旧社長である豊から新社長の悠紀斗への引き継ぎが宣言され、会場が拍手喝采に包まれた後、しばしの歓談に移ったところの出来事だった。

南條豊とその妻の優美子、長男の悠紀斗に呼ばれ、西園寺コーポレーションの社長夫妻と相まみえる波留斗と、さくら。

両家全員集合となったテーブルの周囲には、興味深々で聞き耳をたてる、各社の役員達の姿があった。

「南條悠紀斗さん、新社長就任おめでとう。新会長の豊さんも会長職におさまるとはいえ、長男が会社を継いで安心されたことでしょう」

西園寺護の言葉に、豊の顔も綻ぶ。

「ええ、手前味噌で恐縮ですが、悠紀斗は経営も営業手腕もなかなかでして。私以上に会社を盛り上げてくれると信じております」

「羨ましい限りです」

護の言葉に、すかさず豊が反応する。

「いえいえ、西園寺社長のもとにも優秀な娘さんがいらっしゃるではないですか。何でも、帝王学を学ばれ、大学も首席で卒業し、会社運営の手腕も素晴らしいとか。是非とも息子の伴侶にお迎えしたいところですな」

護がチラリと悠紀斗と波留斗を交互に見やる。

「ほう、どちらの息子さん・・・にですかな」

「それは、もちろん・・・」

「あら、さくらちゃんたらモテモテなのね。この場にいないのに噂の的だわ」

豊の言葉を遮るように、さくらの母である女豹:西園寺薫子が話を遮った。



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