行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「ところでmirayさん、だったかしら。あなたなら、うちのさくらさんに悠紀斗さんと波留斗さんのどちらがお似合いだと思う?」

意地悪な質問に、さくら、いやmirayはいつもの微笑みで

「賢明なお嬢さんは、お見合いなどしなくても、きっと御自分でお相手を決めていると思いますよ」

と返した。

「・・・だそうよ?南條社長。私もそう思うけど、チャンスは平等じゃないとねぇ、護さん」

薫子は、ニッコリ笑って、夫である西園寺護を見た。

「ん、私はさくらのことはさくらに任せるつもりだよ。それよりmirayさん、私はあなたの大ファンでねえ。こっちで一緒に飲もう。スーツ姿もレアで素敵だ。私と写真を撮ってくれないか」

デレデレした姿は、波留斗が西園寺家で見た護の姿と重なるが、今日はあそこまでは崩れていない。

あくまでもいちファンとしての節度を守っているようだ。

会場の端に移動してmirayと写真を撮る護を尻目に、残された南條家の面々と西園寺薫子は会話を続ける。

「私はニュートラルな立場ですわ。さくらさんの選択肢が多いに越したことはありませんし」

薫子は、波留斗を見て妖艶に笑った。

「安心して胡座をかいているような草食系男子は、西園寺家には必要ありませんの。南條社長だって息子さん達のパートナーには、何らかのセールスポイントを求めるでしょう?」

「その点においては西園寺さくらさんにはなんの欠点も見当たりませんな。家の悠紀斗も
なかなかの肉食系ですよ」

南條豊が、悠紀斗を見て満足そうに頷いた。

悠紀斗も波留斗をチラリと見て、口角を上げる。

それは、悠紀斗が波留斗を出し抜いた時の、いつもの表情だった。
< 108 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop