行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
唖然とする波留斗に、さくらはこう告げた。

薫子は、十数年前に流行った

゛◯◯のソナタ゛

の、◯ン様の大ファンで、好きが高じて、韓国のテレビ局の大株主になっているそうだ。

見ているだけでは飽き足らず、いつかはドラマに出てみたいと考えているようだ。

更に私生活でも、韓流ドラマのようなドロドロとした上流階級の泥沼関係を体験してみたいと、前々からさくらに話していたようだ。

だから、薫子が波留斗に初めて会ったときに意地悪を仕掛けるのをみて、さくらはピンときていたという。

「だって、意地悪な継母とか、姑とか、欲深い母親役とかやってみたかったんだもの。護さん」

「もう、しょうがないなー。薫子ちゃんは。波留斗くんやさくらちゃんを巻き込んだらダメだろう?」

「ごめんなさい。あーん、でもやっぱり楽しかったわ。・・・波留斗さん、はじめから反対なんてしてないから心配しないで」

意外な展開に口を開けたままの波留斗をよそに、優美子が口を挟む。

「あら、もしかして奥様も韓流ドラマが好きなのですか?」

「まあ、南條さんも?◯ンスンホンはお好き?」

「ええ、◯◯っていうドラマは観られました?」

「もちろん、この間は撮影所巡りを致しましたのよ」

盛り上がる優美子と薫子。

さくらはため息をついて

「波留斗、付き合わせてごめんね。ちなみに、お父様が波留斗を試すようなことを言ったのも、お母様の趣味に付き合って、韓流ドラマの゛妻に言いなり社長の役゛を演じていたに過ぎない」

「なら、さくらは俺のもので誰も異存はないんだな?」

「さあ、それはわかんないけど」

さくらの肩を抱いた波留斗は、徐に西園寺夫妻と優美子を振り返ると

「男装したお姫様を連れ去るのは、ドラマの鉄板ですよね。抜け出すのをお許し下さい」

ドアに手を掛けた波留斗に

「お待ちなさいと言ったら?」

と、ニヤリと薫子が叫ぶ。

「それでも連れ去るのがデフォルト」

満足げに頷いた薫子に

「素敵よ、波留斗さん」

と、うっとりした優美子。

「でも、今のままではBLみたいだけどな」

と護が苦笑した。

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