行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
さくらの手を引いた波留斗は、迷わず区役所を目指した。

「はい、受け付けました。ご結婚おめでとうございます」

すんなりと受け取ってもらえたが、ここはS区。

男性同士の結婚も受け付けている数少ない役所だ。

区役所に来ていた区民の中には、モデルのmirayに気づいている者もいて一時騒然とした。

そのmirayがイケメン男性と共に婚姻届を出している。

今日のmirayは普段着で、顔も隠していない。

「あのう、モデルのmirayさんですよね?」

届けが無事に処理され、区役所を出ようとした時、ファンとおぼしき女性二人がさくらに声をかけてきた。

「はい。・・・ですが、今日はプライベートですので仕事中ではありません。ご理解下さいますか?」

さくらの心地よく低い声、妖艶な微笑みに、女性達の顔が真っ赤に染まった。

「はい。わかっています。私たちは何があろうとmirayを応援しています。頑張って下さい」

「心強いファンがいて助かるよ」

そう言って握手を求めるさくらに対し、嬉しそうに応える二人の女性。

「私たちが見張ってますので、今のうちに行ってください。エンディング楽しみにしてます」

「ありがとう」

軽くお辞儀をすると、手を繋ぎ堂々と歩く波留斗とmirayを茶化す者も、隠し撮りをする者もその場には一人もいなかった。
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