行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「そうですね・・・。御社はゲームやアプリに関連した商品開発やイベント開催で発展されてきましたが、飲料水や食品関連の分野には手を出しておられない」

南條は、さくらの目をしっかりと見つめて続けた。

「今回のコスプレイベントで、西園寺さんのプレイヤーとしての知名度は上がった。企業側の参加者というだけで、まだ顧客には身元を明かしていないですよね?」

「ええ」

「この流れのまま、西園寺さんをモデルとしたミステリアスなキャラクターが主役のゲームを開発する。それとコラボレーションするように、弊社の飲料水の新キャラクターを兼ねて頂き、ゲーム内でもゲットできるレアアイテムとして飲料水を宣伝する、というのはいかがでしょうか」

「それ、面白いね」

南條の話に食いついたのは桃子の方だった。

「さくら、私、これやりたい!」

ゲームのキャラ設定、作画、ストーリー作成も桃子の得意分野だ。

彼女のイラストは、バンパイヤ系ゲームの売れ行きでわかる様にそのキャラのイケメンぶりに定評がある。

こうなると最早、さくらには桃子を止められないのは目に見えている。

さくらは苦笑しながら

「確かに当たればメリットはありそうですね」

「ええ・・・しかし、何よりも」

「何よりも?」

南條は、敢えて行間をためてから、口角を上げて

「退屈な貴方の生活の刺激となる」

と答えた。

さくらは一瞬、目を見開くと、嬉しそうに破顔し

「・・・退屈してるってよくわかりましたね」

と言った。

「デメリットは知名度が上がってしまうこと、素性がばれてしまうことなどですが、もう、プレイヤーとして顔出しはしてますしね、期間限定をうたえばそれも何とかなるでしょう」

南條の言葉に、さくらはフフっと微笑み頷いた。

桃子はスケッチブックを取り出し、早速イメージキャラを描き始めているし、廣瀬はそれを珍しそうに覗きこんでいる。

「私を楽しませてくださいね」

さくらが南條に握手を求めると、

「もちろん、損はさせません」

と、ニヤリと笑って南條はさくらの手を取った。

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