行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「これは、何とも魅力的な飲み物ですね。社長と副社長に持ち帰っても?」

「いえ、これはまだ、発売前の企業秘密ですから、社外に持ち出すわけには・・・。西園寺さんを信用していないわけではありませんが、申し訳ない」

大和は、丁寧に断りをいれた。

「いえ、セキュリティが緩い会社は信用できません。お言葉を聞いて安心しました」

経営者の顔になったり、いち顧客のように飲み物の味に感動したり。

さくらの表情は変化に富んでおり、周りの人々を引き付けるなにかがあった。

研究一本の頑固な大和ですら、頬を赤らめてさくらにみとれている。

「二人には、発売後の感動を待つように伝えておきます。この契約において、Denizの味は全く問題ありません。今後とも宜しくお願いします」

差し出された右手に、大和も倉永もためらいがちに応える。

「それでは、パッケージやフォルムの完成に期待していますね。波留斗さん、CMに関する打ち合わせについては後日、後連絡下さい」

"失礼します"

と商品開発部をあとにするさくらの後を追って、波留斗も退室する。

プロジェクトはいよいよ本格的に稼働を始めた。

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