行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?

second

Denizとfinding southwest fantasia(FSF)の第一弾が好評を期してから、早くも2週間が過ぎた。

2ヶ月毎の短いスパンで第4弾まで発売するのだから、南條ビバレッジもTBUも開発、営業サイドは大忙しだった。

もちろん、波留斗もmirayも例外ではない。

CMの第2弾の撮影のため、mirayは
打ち合わせのために、晶の映像事務所を訪れていた。

もちろん、波留斗も一緒だ。

「あらぁ、何かmirayのオーラが違うわ。一皮むけたっていうか、バージョンアップ?CMに合わせて雰囲気を変えるとか、神なの?」

そう、さくらは波留斗に抱かれてから雰囲気が変わった。

波留斗は、さくらの中性的な雰囲気が、女性的な雰囲気へとシフトするのではないかと思っていたが、大間違いだった。

器用なさくらは、俳優としての能力があるのではないだろうか。

さくらのみならず、波留斗の官能的な反応を取り込み、mirayは益々、中性的な魅力を深めることに成功していた。

言葉遣いも態度もこれまでと変わらないのに、男性と女性の前では身に纏う色気が変わる。

口調と表情で、接する相手を翻弄する。

それは、商品モデルとしては十分な働きを示していた。

「決めたわ。今回は男女のmirayを絡ませる」

゛Deniz second゛の魅力は2段階。

口にした時の味と、残る後味は全く違うものになるという優れものだ。

ゲームのFSFでは、Deniz secondをゲットして口に含むと、ゲーム手が選んだ選択(味)によって仮の性別が決まる。

分岐ルートだ。

しかし、あくまでも仮であって、最後には同じ結末にたどり着く。

゛その分岐の違いを楽しんでほしい゛

というのが今回のコンセプトだ。

CMは、Deniz secondを手にしたmirayが
男女に分かれ、そして向き合う。

手を繋いだ男女のmirayは、光に向かって雲のなかに吸い込まれ、新たなステージに向かっていくというもの。

シナリオのラフを確認するmirayは、前髪を掻き上げて魅惑的に微笑む。

居合わせたスタッフが皆、息を呑むくらいの色気を垂れ流すさくら。

波留斗は何度も、周囲の視線に嫉妬し、さくらをマンションに閉じ込めてしまいたい衝動にかられる。

しかし、それではさくらの自尊心は満たれない。

彼女の願いを叶えてこそ、波留斗の野望は満たされるのだと、波留斗は十分理解していた。

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