行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「本当に副社長はここに住んでたんだね」

エレベーターに乗り込むと、クスクス、とさくらが笑った。

「滅多に帰らないがな」

「実家がメイン?」

「まあ、他にも、いろいろ・・・な」

「女、か」

「・・・」

さくらがニヤリと笑って波留斗を見上げた。

「波留斗は?」

「何が?」

「お手軽な関係のオトモダチはいないの?」

「いい加減な付き合いをするくらいなら、仕事に生きる」

波留斗は、ムッとしてさくらを睨む。

「愛の告白もしないで誰かを抱いたくせに」

玄関の鍵を指認証で解除しながら呟くさくらを、波留斗はじっと見つめた。

「おやすみ。また明日」

さくらが手を振って室内に消えるのを待たずに、波留斗は自宅の玄関から室内に消えていった。
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