心に一滴の雫を。
頬を膨らませる、という普段しないことをしてしまうと。

「ぷっ、あははっ!やっと表情を変えられた」

「…へ?」

何を言い出したんだこの子は、と驚きすぎて間抜けな声を発してしまう。

「そーいうの、もっと表に出してったほうがいいよーってこと」

凱斗はなんだか嬉しそうだ。

「…そんなにニコニコしたって話はまとめさせません。どうして嘘をついたり?」

調子が狂う。

こほん、と一つ咳払いをして続けた。
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