果報者
あの日から彼女は
前よりもベランダに出る回数が増えて



頻繁に話しかけとる。



それをソファから眺める日もあれば
一緒になって覗く日も。



そしてついにその日が来た。







「もうそんな泣かんの〜〜
俺までもらい泣きしてまうやろ〜?」







大事なカブトムシが天国に行った。


全く動かんようになってしまったカブトムシを
大事そうに綿に乗せた彼女は
俺の胸の中でこれでもかってほど
わんわん泣いてる。




幼虫から成虫になるまでを
見届けた彼女は
悲しくて仕方がないんやろう。



たかが虫って思われるかもしれん。
でも彼女にとったら、されど虫。



一つの命が
この世からなくなってしまったことには
変わりない。



明日一緒にお墓作ろなと言えば
真っ赤な目で頷く。


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