果報者
沈黙は思ったより長くて
抱きしめた腕を一旦解こうと
彼女から離れる。



それでも離すまいとしがみつくまこを
無理やり引き剥がす。



肩を持ち
もう一度目線の高さに腰をかがめ
彼女の目をまっすぐに見る。








”結婚したい”








彼女はさっき、確かにこう言った。



すぐにでも消えてしまいそうな声で
声を震わせてこう言った。







「まこ?」

「..............」







俯く彼女に優しく問いかける。









「結婚はでき........「いや!!!!!!」」







”結婚はできひん。”








これが今の俺の答えやった。



その答えを知ってたかのように
彼女はまた、俺の言葉を遮った。
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