果報者
一旦顔を見せてと離れようとしても
頑なに彼女は離れんかった。



エスパーやったら良かったのに。
弱みを見せられへんほど
俺は頼りないやろか。



そう考え始めたら
だんだんなぜか腹が立ってきて
最低な事を口にしようとしてた。







「..........お前さぁ、「.........したい。」」

「............へ?」

「................」







でも、それを口にする前に
彼女の言葉と被ってしまった。



聞き取るには難しいような声量やったのに
それはしっかり俺の耳に届いてて




二度目に聞くそのセリフ。




2人の間には沈黙が流れた。
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