果報者
久しぶりのある日、
休みがもらえた今日、
俺は1人湖に来てた。



たまに釣り友達と来てたけど
1人で来るのは久しぶりで



釣り道具も持たず
ただいつもの場所に座ってた。




見える景色はもう何年も変わってない。



ただただ静かな時間を過ごすだけ。



夕方になると日が沈み
月が現れ星が瞬く。



気付かんうちに夏が終わる季節。



彼女がいなくなってから
3ヶ月が経とうとしていた。



俺以外誰もいなくて
広い空間を独り占めして



でもそんなことはちっとも嬉しくなくて
あぁ、また明日からも彼女の影を思い出して
生きていくんかって。



ため息をついて帰ろうかと腰を上げた。



肌寒さに肩をすくめ
車に乗り込もうとポケットから鍵を取り出した時



ふと、フロントガラスとワイパーの間、
何かが挟まっているのが見えた。



恐る恐る近付きよく見ると
それは1本の花。


忘れもしない、
クラスペディアの花やった。
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