現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「まぁね。そんなところよ」

「まったく……グレースはシーモア家の長女でれっきとした伯爵令嬢なんだぞ。八つ当たりするのは大概にして欲しいよ」

「まぁっ!ふふっ、ヴェネディクトったら私よりも怒るのね。変なの」

「変じゃないさ!大事な幼馴染が理不尽な扱いされてるんだぞ?怒って当然だろう?ってか、グレースもいい加減、怒った方がいい」

ぐっと拳を握りしめて怒りを堪えているヴェネディクトをみていたら、不思議とグレースは温かな気持ちになった。自分のために怒ってくれる人がいるなんて幸せな事だと思う。

「ありがとう。でも私が言い返したりすると、アナベルやウィルターにとばっちりがいくから……」

ふぅっと小さくため息が出てしまった。
グレースとしては自分が何か言われるよりも弟妹が何か言われる方が嫌なのだ。
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