雨色のてるてるぼーず
真っ直ぐな瞳で私を見つめてくる。






この感覚はあの文化祭の時に目が合った時とは少し違って強い意思が感じられた。






「そういうことか!竹中くんのこと名前で呼びたいです!あと私の事も名前で呼んでください!」






「ほんとに!?よかった〜ぜひ僕のことも名前で呼んで!あと…」





まだ何かあるようだ。





でも少しずつ距離は縮められている気がするので嬉しくなる。





「なんかまだお互い敬語使ってるからタメがいい」





「そーだね!確かに不自然だよね!」






「ありがとう、水葉」





竹中くんは“水葉”というところをわざと強調して言った。





不意打ちだ。





そうくるとは思わなかった。





まさか呼び捨てとは。胸がドキドキしている。





突然の事だったのでびっくりして竹中くんを見ると竹中くんは艶やかな笑みを見せていた。






その笑みに思わずドキッとした。






初めて見る表情だ。





気がつけばずっと竹中くんを見てしまっていた。
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