雨色のてるてるぼーず

勇気

side 陽





「で?それからどーなったんだ?」





「え、そのあとは普通に魚見たりイルカショー見たりご飯食べたりして解散だったよ」





「お前…最後家まで送るとかそういうことしないのかよ…てかそのなんだっけ?水葉ちゃん?その子のこと好きなんだろ!?」






「うん。好きだよ。てかたやすく名前を呼ぶな。」





「じゃあなんで帰り道とかに水葉ちゃんに告白しなかったんだよ!」





「だってまだあって3回目じゃん。てか名前!」






「はぁ…お前な…男なんだからガツンと勢いに任せて言うもんなんだよ!会ってからの期間とかそんなの関係ねえんだよ!好きなら好きでいいんじゃねーか!」






こう寛太が大きな声で叫ぶもんだから周りにいたクラスメイトがわらわらと集まってきた。





男子校では彼女がいる奴やいい感じになっている奴はことごとく聞き出される。





そして聞き出された次の日には学年全体に広まっているのだ。





その後は爆発しろーだのなんだの言われ続ける。





そのいじりや冷やかしは共学よりも多く図太い。





だから面倒なのだ。





面倒くさいことになりそうなので集まってきたクラスメイトから逃げるようにしてクラスを飛び出した。
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