神志名社長と同居生活はじめました
「え?」

「作ってたよね。牧田に毎日。
はたから見てるだけで、彼氏のことが大好きなのが伝わってきた。
誰かを本気で好きになっている人って、こんなに生き生きとしていて、可愛いんだなって……。

それに、俺にはないものを持っている君が、羨ましかったし、素敵だと思った。
そしてーーいつからか目で追うようになっていた」


そう……だったの?
そんなの、全然知らなかった。

社長は私にとって雲の上の存在で、凄い人で、憧れてはいたけれど、でもそれは恋愛感情ではなくてーー。


そう言えば社長に初めて朝食を振る舞おうとした時、私が料理得意なこと知ってる風なこと言っていたっけ……とぼんやりと思い出す。



「横恋慕しようとは全く思ってなかったよ。毎日幸せそうな君に、もっと幸せになってほしかった。

だけど牧田と間瀬が付き合い始めたと知って、居ても立っても居られなくなった」

「あ……それで花束を……?」

「そう。
最初は、せっかくの誕生日に一人で泣いてほしくないって気持ちだけだったんだ。
でも、ずっと気になっていた君が目の前にいて、俺だけに視線を向けているのを見たらーーもう遠慮なんていらないと思った。

付き合う期間なんてどうでもいいくらい、今すぐ一緒に暮らしたいと思った」

「そう……だったんですね」

「まあ、そんなに前からずっと君のことが気になっていたなんて知られるのはさすがの俺も気恥ずかしくて、つい隠してしまっていたけれど」


思わぬ告白に、涙がポロリと頬を伝う。
勿論、嬉し涙だ。

胸がドキドキと高鳴って、止まらない。


ーー止まらなくていい。



「わ……私も大好きです。社長が隣にいてくれなきゃ、嫌です」

「それが君の素直な気持ち?」

「はい。一生変わらない、私の気持ちです」
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