神志名社長と同居生活はじめました
私は少しずつ、自分の気持ちを吐露していく。


「仮に結婚したとしても、契約的な結婚、みたいじゃないですか」

「うーん、そうかな」

「そうです。妻じゃなくて家政婦が欲しい言われているみたいですし」

「そんなつもりはなかったけど、そう思わせてしまったならごめん」

「……っ」

謝らせて、しまった。私の方こそ、社長に謝らせるつもりはなかったのだけれど。


……自分の主張を強引に押し付けてくる人なのかと思いそうになっていたけれど、そんな人でもないのかな……。



「……まあ、よく考えたら俺にとってメリットはあっても、君にとっては何もないもんな」

よく考えなくても分かりそうなことな気もしたけれど、大人しく「そうですね……」とだけ答えた。


「分かった」

社長が、納得したように頷く。
いきなり結婚だなんて提案がとんでもないものだということに気付いてくれたかな、と安心したのも束の間。


「じゃあ、まずは同居から始めよう」
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