神志名社長と同居生活はじめました

「君の家に住むのと、俺の家に住むの、どっちがいい?」

アパートまでの帰り道、社長から突然、そんなことを聞かれる。


「ああ、そうか……何となく、私の家で同居するような気でいましたけれど、選択肢があるんですね?」

確かに、社長から言われたのは〝同居しよう〟という提案だけ。私の家で、と言われた訳ではない。


「うん。俺も今一人暮らしだし、引っ越してきてくれても構わないよ。マンションなんだけど、雅の住んでるアパートよりは広いかな」

「それは、そうでしょうね」

神志名社長ともあろう人が、私の住んでるアパートと同じレベルの家に住んでいたら、その方が驚きだ。


「……私の家は狭すぎて、二人で暮らすのは大変だと思います。でも……」

「でも?」

「……私の家で」

社長との結婚が本気で前提ならともかく、ほぼ流されているだけのこの状況の中で今の暮らしを捨てて社長の家に引っ越しするのは不安だった。
後戻り出来なくなったら、と考えると怖かった。



「そう。じゃあそうしようか」

「はい、お願いします」
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