毎日、失恋。
「んんんんん、ごほんっ。」

あと少しで佐奈の唇に届きそうだったのに取ってつけたような咳払いに中断される。

振り返らなくても想像できたけど…

「絶対にわざとだよね?」

僕は教室の入り口に立つ岡ちんに向けて言った。

「先生…」

佐奈が小さく呟いた声に過敏に反応してしまい遂、顔を見てしまう。

もしかしてまだ……

けれど、僕に向けてくれるその笑顔が大丈夫と安心させてくれる。

「ここは教室です。学生が学ぶ神聖な場所でそういった事は控えた方が宜しいかと。」

相変わらず堅いよなぁ。

「僕達、卒業したんだからもういいんじゃないの?それより岡ちんさぁ、本音でいいなよ。」

僕がそう言うのをまるで待ってたかのように岡ちんが「ならば遠慮なく…」と言いながら僕達の側までやってきた。

そして僕の方に向くと今一度姿勢を正した岡ちんが言う。

「八神くん、僕の大切な妹を万が一にでも泣かすような事をしたらーー」

ーーーーただじゃおかねぇぞ

後半は僕にだけ聞こえる様に耳元で言った。

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