毎日、失恋。
「佐奈、落ち着け。もうすぐ着くから。」

「えっ?」

着く?

どこに?

すると目の前の玄関のドアノブがガチャガチャと動いた。

「佐奈、僕だよ。ここ開けて?」

裸足のまま玄関に降りて直ぐにドアを開けた。

「こら、ちゃんと僕だって確認する前にドア開けただろ?もぉ、ほんっと佐奈一人にしておくと心配。」

頭にライトを付けレインスーツを着たまるで探検隊の様な格好をした八神くんが立っていた。

「八神くんっ!」

「うわっ、ちょ、ちょっと待って。ほら、濡れるから。」

思わず八神くんに抱きついてしまった。

「あっ、ご、ごめん。」

「ハハッ、熱烈大歓迎だね。入ってもいい?」

八神くんが笑顔で言った。
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